15万打リクエスト

□寝息にキスを
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そんなことを思い出しながら、上半身を起こした。スタンドライトの隣に置いてある煙草を手に取り吹かす。
――思い出したら勃ってきた自分が情けない。…否、でも臨也がエロいから……
普段は饒舌で高飛車で、とことん食えない性格をしているくせに、情事の時は、別人ではと疑うくらいにしおらしくなる。
勿論、そんなところも愛しい。
まるで他人の知らない、そして臨也すら知らなかった姿を、自分だけが引き出せるような気がして。
…我ながら痛い。

ふう、と長く吐き出した呼吸に合わせ、白く濁った紫煙が辺りに漂う。
煙草は好きじゃない、しかめ面でそう言う臨也を思い出し、臨也の方へかからないように手で小さく扇ぎながら臨也を見た。
…でも、紫煙の香りを嗅ぐとシズちゃんを思い出して安心する、なんてはにかみながら言っていたのも記憶に新しい。
どっちなんだか分からない。でも、煙草で安眠妨害されたなんて言われても困るし、臨也にかからないようにしておくに越したことは無いだろう。


不躾に勃っていたものもようやく収まり、安堵しながら臨也の髪に手を伸ばした。
指を通しても全く引っ掛からない。心地好い感触に頬擦りすらしたくなりながら、その整った顔を見つめる。

喧嘩相手だったのに、こんな関係になれたなど、奇跡だと思う。
喧嘩は今でもしているのだけれど、臨也という人物を知って直ぐの沸騰するような苛立ちは、今は感じない。
喧嘩という親愛表現…とでも言う方が感覚的にはよっぽど当てはまる。臨也はどうなのか知らないけれど。


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