リクエストのやつ

□不倶戴天
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…しかし今も、彼と喧嘩をしてこんなことを考えるに至る時点で、俺は全く彼を想う心を忘れることなど出来ていないのだ。
彼に更に恨まれることは出来たのだけれど。


「何て言うか…惨め……」

「何か言いやがったか、手前!」

「何言ってるの、俺は何にも言ってないよ?シズちゃんの耳は地獄耳って言うより、ただの地獄だと思うよー?」

「死ねえええええ!!」

鼓膜が破れるような声を背中に聞きながら、臨也は走る。

いいんだ。
いいんだこれで。
ずっとずっと、シズちゃんと喧嘩をしていられるなら。
気持ち悪がられるより、幾分マシ。
大嫌いと言われたって、ウザいと言われたって、死んで欲しいと言われたって――。


「シズちゃんの死ねなら、俺は大歓迎だよ!!」

「なら死ね!今すぐ死ね!クソノミ蟲が!!」

ずきん、ずきん、胸を刻む痛みにはいつまでも慣れることが出来ないまま。
でも、俺はシズちゃんを嫌わなきゃいけない。
シズちゃんには、恨まれ続けなければいけない。



一緒の世に生きていたくないくらい、恨んで。



俺が、諦める日が来るまで。





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