頂き物・捧げ物
□『繋いだ手』
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ふわりと自分の髪を撫でる気配に、ヒューゴは重い瞼をゆっくりと開いた。
「…ん…シーザー?」
「あ、悪ぃ。起こしたか?」
「ううん、大丈夫…。」
熱のせいでぼんやりとする思考。
それでも確かにシーザーの姿を捉えて、ヒューゴは弱々しく微笑んだ。
「具合、どうだ?」
「うん…さっきよりは、だいぶ楽になったかな…。」
「そうか…?」
すっとシーザーの手が伸びてきて、額に添えられる。
そのひんやりとした感触に、ヒューゴは気持ち良さそうに目を閉じた。
「まだ熱あるな。」
「…シーザーの手、冷たくて気持ちい。」
「バーカ。お前が熱持ってるからだよ。」
ふいに離れた手に寂しさを覚えながら、ヒューゴはまた目を開く。
すると不敵に微笑むシーザーと目が合って…
「バカって言うな。シーザーのバカ。」
むっと膨れて、体を反転させるとシーザーに背を向けた。
「悪い悪い。そんな拗ねるなって。」
「知らないっ!」
背後からくすくすと笑い声が聞こえる。
こんな喧嘩じみた事をしたいわけじゃないのに…
情けなさやら申し訳なさが入り交じって、どうも素直になれない。
「(ほんと、バカみたいだ。)」
ふいに涙が零れそうになるのをぐっと押さえ込んだ。