頂き物・捧げ物
□『繋いだ手』
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「手、握っててやろうか?」
「えっ?!あ……うん。」
おずおずと差し出されたヒューゴの手をぎゅっと握れば、伝わる体温が常よりも熱くて…
熱が上がってしまったのではないかと不安になる。
「…シーザー。ごめんね。」
「え…?あぁ、別にいいって、これくらい。」
大丈夫か。と問う前に話を振られて、一瞬返答が遅れた。
「そうじゃなくて…今、忙しい時なのに。」
「ヒューゴ…。」
次に起こる戦の事を言っているのだろう。
ちょうど準備に追わればたばたとしていた矢先に倒れたのだから、気にするなという方が難しいのかもしれないが…。
「お前はそんな事気にしなくていいんだよ。」
「でも…っ!」
「今は俺が頑張る番。戦が始まったら俺は何もできないんだ。そしたらお前が頑張る番。だから今はしっかり休んどけよ?」
「ごめん…。」
申し訳なさそうに目を伏せるヒューゴの額にそっと口付けた。
「こういう時くらい素直に甘えとけよ。寂しいだろ。」
「うん…ありがとう//」
繋いだ手にもう一方の手を重ねると、安心したようにヒューゴが眠りに落ちていった。
「あんまり無理するなよ。心配、するだろ…。」
シーザーの独り言は、誰にも届くことなく静かに消えていった。
…終
→あとがき