頂き物・捧げ物

□『繋いだ手』
2ページ/4ページ




「ヒューゴ、何か欲しいものとかないか?」

「………。」

黙り込んだヒューゴに、シーザーはふっと息を吐くとおもむろに立ち上がった。

「――!」

驚いて振り返れば、そこには柔らかな笑顔。

くしゃくしゃと、頭を撫でられた。

「氷水でももらってくる。少しでも冷やした方が楽だろ?」

大人しく待ってろよ。と一言付け加えて、ドアへ向かうシーザー。

「あ…っ」

自覚する間もなく、気がついた時にはシーザーの服の裾を掴んでいた。

「ん?どうした?」

「え…?えっと…」

自分の行動に驚いて、慌てて手を離す。

「何か欲しいものでもあったか?」

「そういうわけじゃ…ないんだけど…。」

シーザーが身を屈めて問う。

「何だよ?言わないと分からないだろ?」

「――っ」

言葉に詰まって…けれど観念してぽつりとヒューゴが言葉を紡いだ。

「…氷水なんていいから…寝るまで傍にいてって言ったら…困るよね?」

あまりにも弱々しく発せられたヒューゴの言葉に、シーザーが一瞬驚いた顔を見せる。

「//や、やっぱりいい!何でもない…っ」

恥ずかしさからか、ふとんに顔を埋めるヒューゴにくすりと笑んで、シーザーは傍に腰を下ろした。

「分かった。傍にいるから顔隠すなよ。」

「…ありが、とう。」

「どういたしまして。」

ふとんから少しだけ顔を覗かせて、そう呟くヒューゴにたまらなく愛おしさが込み上げた。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ