Eden
□Another Story
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気が付いたら知らない船にいた。その船は海賊船だったみたいだ。それまでのことも、自分のことすら覚えていなかったから。こわくて、どうしようもなく、こわくて。
ずっと黙ったまま数日が過ぎていった。いつもピンク色の髪をした男の人がいっしょにいたけど、
なんとなく、きもちわるい。
悪い人ではないと思うけど。
いや、海賊だから悪い人、か?
いつもの笑顔が『近付くな、触れるな』って壁を作ってるみたいで、優しかったけど冷たかった。
「どこか痛むところはありまセンか?」
無言で首を横に振ると、男の人は少し困ったように頬をかく。まだ少しこわかったけど、一番聞きたいことを聞いてみることにした。
「……ぼくは、だれ?」
その時男の人は、悲しそうな、寂しそうな顔をした。聞いたらいけなかったのだろうか。そう思って、問いかけるのを止めた。それに、
答 え を 知 る の が 、 怖 い 。
「もうすぐ、キミをここに連れてきた人が来マス。それまで少し、休みまショウか」
こくん、と小さく頷いて、やがて規則正しい寝息が聞こえてきたのを確認すると、青年は少年の髪を優しく撫でた。少年に外傷は無い。あるとすれば右目の紋様だけだ。
何かがあったのは間違いない。それは、恐らく少年が自ら記憶を深く閉ざしてしまう程の何かが。
真実は記憶の底で眠り続けるのだろう。少年が自ら鍵を開けるその時まで。
××××
これがどこをどう間違えたらあのやる気のない不良船長に育つんだろうか(←待て)
ちなみにこのちびヒュウさんは13か14才位だと思います。
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