Eden

□Another Story
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「愛はいつか叶うなんて、嘘よ」


サラはそれまで読んでいた書物にしおりを挟むと、自室の豪華な寝台に身を投げ出した。


少女が読んでいたのは、お姫様が主人公のお伽噺。ひとりぼっちのお姫様は、こっそりお城を抜け出して、旅人と運命的な出会いを果たすのだ。


身分違いの二人はそれを自覚しながらも苦難を乗り越え、強く惹かれあっていく。


物語の終盤、実は他国の王家の血筋だった旅人は、王子としてお姫様と再会。祝福されながら結ばれてハッピーエンド、だ。


ありがちな物語。旅人に正面から好き、とか愛の言葉をもらうことができる、渡すことができるお姫様。サラはそんな彼女に憧れていたが、今は違っていた。



「『好き』とか、『愛してる』とか、言えるって幸せよ。でもそんなんじゃないの…ただ、大切な人と一緒にいたい」



愛しそうに、書物の表紙を指で撫でる。



「求めちゃ駄目ってわかってるけど…『大丈夫』って、言ってほしい。こう思う私は、我儘かしら?」



四角く切り取られた藍色の空で、微かに煌めく星達が、笑ったような気がした。







××××

たまには乙女に。(←なってない気もする)

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