Eden
□序章
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ハ
ジ
マ
リ
の
日
容赦なく降り注ぐ日射しも、雲一つ無い青空では遮るものは無い。
街の喧騒(けんそう)から少し離れた場所で、木陰に寝転んでいた黒髪の少年がうっすらと瞼(まぶた)を開けた。
瞳の色は、印象的な
“蒼”と“翡翠(ひすい)”。
「今、何時?」
ふわぁ。とあくびをしつつ、ぐぃーっと空に向かって両手を伸ばす。
ポケットから取り出した時計が示す時間は、午後四時七分。
まだぼんやりとしている頭が一気に目を覚ます。約束の時間は午後三時だ。
「やっば!!!」
勢いよく立ち上がると、ほどけた靴紐も直さずに喧騒の中へと走りだした。
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