Eden

□序章
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「遅い!」

「…だからごめんってば」


噴水の前で待ちかまえていたのは、愛らしさより動きやすさを重視した格好の少女。

柔らかい金髪を高い位置で結った彼女は、遅れて来た幼なじみを見るなりぷぅっと頬を膨らませた。


「一時間以上待つのって、疲れるんだよ?それに、私たちはいつでも会えるわけじゃないんだから」

「グランディエ家のお嬢様は忙しいからね」


少年は、孤児院に暮らす市民。
少女は、有名な家柄のご令嬢。

いくら幼なじみとはいえ、十六才になった彼らはいつでも自由に会えるわけではない。


「ユゥリ君にサラお嬢さまじゃないか、また二人でデートかい?」

「違っ!!ただの幼なじみだって!そんな事言ったら、おれが侯爵様に怒られるよ!」


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