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□SNOW
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だからって寒いだけの理由で人肌を求めてるわけじゃないけど。
でも、エアリスの温もりに触れたいっていうのは本心。
「ザックス……」
俺の頭を撫でるエアリスの右腕を引っ張ったら、バランスを崩して俺に向かって倒れてくるその躰。
「冷たい……エアリス」
だけどエアリスの躰は少し冷えていて、俺は抱きしめる腕の力が強くなってしまった。
「雪、嬉しくて、ずっとここに居たからかな……?」
いくら建物の中といえど廃墟の教会の中は冬の寒さを感じさせる。
朝から薄着で教会の中にいるエアリスの躰は少し冷えていた。
「寒い?」
「ちょっと、寒い…けど」
「けど?」
聞き返したら、エアリスは俺と瞳を合わせようと少し躰を離す。
俺は名残惜しかったけど、その言葉の続きが知りたくてエアリスの碧色の瞳を見つめた。
「ザックスが、ぎゅっ、てしてくれたから……あったかい」
そんな事、言われたら。
「じゃあ、また、ぎゅってしていい?」
少し恥ずかしそうにだけど、俺のお願いに頷いてくれたから俺はまたエアリスを抱きしめる。
暫く沈黙が続いたが、それは何の苦でもなく、居心地の良い空間だった。
「わたし、ね………雪が降る街で生まれたんだって」
ふと自然に話し始めたそれは、俺が知らなかった事だった。
古代種だとか、神羅に狙われてるとか、あまり深く聞いた事がない話も少なくなかったから。
だけど、エアリスが話してくれるならと俺は話を聞いた。
「生まれてすぐ、ミッドガルに連れてこられたから覚えてないんだけどね」
「なんていうとこ?」
エアリスはアイシクルロッジだと言った。まさにそこは昨日まで俺が任務に就いていた場所だった。