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□SNOW
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小さな花が咲く教会の天井からは降ってくるはずのない雪が舞落ちている。
そんな理由、一つしかない。
「…これ、俺のせいだよな」
俺は花を世話するエアリスの横にしゃがみ、穴が開いた教会の天井を見上げて呟いた。自分が開けてしまった天井の穴を。
雪が迷い込んだ理由は、プレートの上からこの教会に落ちて天井を壊してしまった俺が原因なんだから。
「雪、好き、だよ」
落ち込んでいる俺をよそに、エアリスは思いもよらない言葉を掛けてくれた。
「雪、好きなのか」
「うん。スラムで、雪、めったに見られないから……嬉しい」
そう笑うエアリスの笑顔には不安さえも安心に変えてしまう力がある。落ち込んでいた気持ちなんて吹き飛んで、俺も自然と笑顔になっていったのが分かった。
「ザックス、は?」
「俺?俺は……」
「好き、じゃ…ない?」
「いや!どっちかって言われると好きなほうだな!」
よかった、と嬉しそうにエアリスは微笑んだ。
「ゴンガガってさ南の方にあるから雪なんて降らないんだ」
「そうなんだ」
「だからミッドガルに来て初めて見た時は感動したな」
俺が楽しそうに話していると、その姿を見てエアリスも楽しそうに話を聞いてくれる。
「でも昨日まで超極寒、豪雪地帯でずっと任務でさ。今はちょっと雪を見んのが憂うつかなっ…て」
「おつかれさま」
そう言ってエアリスは俺の頭を撫でるんだけど、触れられた指とか匂いとか近すぎる距離が、今まで会えなかった分を埋めようと本能が疼く。
冬になると、雪を見ると、温もりを求めるように。