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□Bitter
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いつものように、伍番街スラムにある教会で花の世話をしているエアリスにザックスは逢いに来た。
他愛もない話をしたり、エアリスの話を聞いたりと、いつもと変わらない時間を過ごしていた。
そう、いつもと変わらない時を。
ザックスは過ぎていく時間に期待よりも不安が膨らんでしまう。
そう、エアリスはいつまでだってもチョコレートはおろかバレンタインの話題を出さない。ザックスも自分から切り出す事もできずに帰らなければいけない時間になってしまう。
まさか、まさかとだんだん落ちてくる自分。ここに来るまでの元気はどこへ行ったのだろう。
「じゃあ…帰るわ」
「うん、気を付けてね……」
ああ……カンセルとシスネが言っていた不吉な事が本当にあたってしまうなんて。
帰ったらシスネに軽く笑われるんだろうな、とか。
エアリスに教会の扉まで見送られ教会からでた瞬間、チョコレートが貰えなかった俺をツォンが軽く鼻で笑うんだろうなとかも思っちゃったりして、余計に自分で自分を落ち込ませながら教会の扉に手を掛ける。
「ザックス!」
「え……」
そのまま帰ろうとした俺はエアリスに呼ばれて振り返ろうとした。
そして振り返きる前に、思いもしない事が起きる。
これは白昼夢か?
エアリスが俺にキスしてきた。