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□Bitter
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「バレンタインデーだから?」
「そ」
「知ってる?バレンタインデーは恋人達が愛を誓う日なのよ」
相手は私じゃないでしょ?と軽くたしなめられてしまうが、そこは負けずに頑張ってみる。
「でもミッドガルでは女の子が男子にチョコをプレゼントする習慣があるじゃん」
「エアリスから貰えないの?」
「まあ、期待はしてるけど約束はしてないからね」
確かにエアリスからのチョコレートは楽しみで仕方がないっていうのが本音なんだけど。でもほら、シスネとは仲いいし義理でも貰えるかもとか思っちゃってるのも本音だし。ま、貰えなくても仕方ないけどさ。
「はい」
「え!?」
そう言って手渡されたのは小さい黒い箱にブルーのリボンが巻かれたチョコレートだった。
「期待しててエアリスに貰えなかったら可哀想だから、あげるわ」
「マジで!?」
エアリスに貰えなかったら、とかまた不吉な事を言われたのが気にはなったが、シスネから本当に貰えた事に素直に喜ぶザックス。
「言っておくけど義理よ」
「わかってるって!サンキュ!」
「あ、これからエアリスに逢いに行くんだっけ?」
「ん?あ、まあそうだけど」
それを聞くとシスネはそのチョコレートを取り上げてしまう。
「あ!?」
「他の子から貰ったチョコレートなんか持ってたら、エアリスから貰えなくなっちゃうかもしれないからやっぱり預かっておくわ」
「うん、まあ、そうか…」
「エアリスに貰えなかったら、返してあげる」
そう言ってシスネは神羅ビルを後にした。
「だから不吉な事言うなって!」
今度はシスネにからかわれるザックスだが、期待と不安を胸に伍番街スラムの教会へと向かった。