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□Bitter
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「そんなに大量のチョコ、食べきれんのかぁ?」


両手から溢れそうなたくさんのチョコレートを貰ったザックスを、冷やかしながら階段を降りてきたのはカンセルだ。


「うらやましいだろ」

「うるせっ!調子に乗っててエアリスに振られても知らねーぞ!」


そのまま捨て台詞を吐いて、カンセルは手を適当に振りながらその場を去って行った。


「不吉な事、言うなよ!」


遠くから聞こえる笑い声とは正反対に、冗談でも笑えないのはザックスだ。


「あ、悪いんだけどさ、これ帰ってくるまで預かってくれない?」


カンセルの捨て台詞を気にしつつもザックスはこれから神羅ビルを出るため、貰ったチョコレートを受付に預かってもらう事にした。


「かしこまりましたわ。ザックスさん、これからお仕事ですか?」

「うん、まあ」

「お早いですね」


ザックスのスケジュールを把握している受付嬢は、彼が少し早く神羅ビルを出る事にクスリと笑みを浮かべながらチョコレートを受け取った。


「これも、よろしければどうぞ」


そう言って預かったチョコレートと一緒に、受付嬢は自分が用意したチョコレートを差し出した。


「マジ!?」


一緒に預かっておきますから良かったら食べてくださいと受付嬢に微笑み掛けられれば、やはりテンションが上がってしまうようだ。


「お仕事頑張ってくださいね」

「すげぇ頑張る」




「あら、機嫌がいいのね」




そう言ってザックスの顔を覗き込んできたのは、黒スーツに身を包んだシスネだった。


「シスネ!今から任務?」

「まあね」

「ん」

「何よ」


話をしながらエントランスを歩いていたが、ザックスが手を差し伸べた事にシスネは首を傾げる。




「チョコレート」




ザックスはもちろんシスネからもチョコレートが欲しいようだ。






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