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□Memories
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思い出す、輝いてた日々。
「空見れたらどうしよう、かな」
5年前のあの日、六番街のみどり公園で一緒に空を見る約束をした時、わたしはわくわくしてそれをザックスに伝えた。
「そうだな、一緒に寝っころがるか?」
「寝っころがる?」
どうしてそうするのかな?って、首を傾げて瞳をまんまるくしてザックスを見つめた。
「晴れたあったかい日に、外でする昼寝は最高だね!」
「お昼寝、するの?」
空を見上げて寝っころがるなんて考えたこともなかった。スラムでは見上げれば窮屈なプレートしか広がっていないし、植物なんて育たない。
ザックスはよく故郷の暖かい太陽の下で、ふかふかな芝生に寝っころがっていたことを楽しそうに話してくれた。
「なんなら今ここで一緒に寝っころがる?」
「もう!今、お花売ってるでしょ?」
「じゃあ、これ全部売ったらいいってことだな」
顔を近付けてしてやったとばかりに笑うザックスに、わたしの顔の温度は上がってしまう。
ワゴンに少し残っていた花を早く全部売ってしまおうとザックスは一生懸命で、その姿を見ていると嬉しくて楽しくて。
でも、ザックスが最後のひとつの花を手に取った時、そのあとの彼の企みにどきどきしてしまって。
「最後のひとつ」
ザックスが小さなその花を手にして、わたしに微笑みかける。
「これは俺からエアリスへ」
ザックスの指がわたしの髪に触れて、耳には小さな花がかけられ、少し躰がびくんと震えた。
ザックスはいつも
わたしの心を揺さぶった。