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□SNOW
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この季節になると、独特な澄んで冷えた空気が目覚めを鈍らせる。閉じたブラインドから漏れてくる光も殆どなく、薄暗い朝を迎えるのだ。
肌寒い部屋のベッドの中から起きる事は容易ではなく、鍛えられたソルジャーでさえ躊躇ってしまう程だ。
しかし、青年は寒さを堪えてでも目を覚ます目的があった。
「雪か……」
窓からミッドガルの街並を見下ろすと、白い雪景色が彼の視界に映ったのだった。
SNOW
ミッドガルは北に近い事もあり、冬になると雪が降る。
しかし、プレートに覆われているスラムにそれは届けられず街並は変わらない。
雪が少し憂鬱だったザックスは、いつもと変わらないスラムの街並に胸を撫で下ろした。
「あれは……」
しかし、伍番街スラムを歩いているとザックスはプレートの天井を見上げてある物を見つける。
「エアリス!」
そのままザックスは伍番街の教会の扉を開け、姿を見つけたその少女の名を呼んだ。
「ザックス!雪、降ってる!」
上を見上げて微笑んでいたエアリスはザックスの顔に瞳を向けて、もっと嬉しそうに笑った。