sweet & Darling
□告白
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どうしたらいいものか少し迷って、とりあえずその場にしゃがみ込んだ俺を見て、10メ―トル程走って帰ってきた彼女が薄く微笑んだ。
周期的にスタートをきって、地面の砂を踏みしめる音がやけに耳に残って、さっきまで煩く感じていた蝉の声が、なんだか遠くなった様な気がした。
「千葉くん、もしかして暇人?」
「…“もしか”しなくてもね」
「なのに早起きなんだ」
「きみには負けると思うけど」
「あたしはこれが普通だから」
「陸上部?短距離?」
「あたり。でも今はリハビリ中の身ですが」
「リハビリって…」
そう言われてなんとなく目がいった先には、がちがちにテ―ピングされた彼女の右足首。
「捻挫でもした?」
「それくらいならよかったんだけど」
残念そうに笑って拾いあげたのは、明らかに動きにくそうな、おそらくその足首用のサポート器具だった。