歌姫様
□すれ違い ☆
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「あ…」
思い出したように中に戻ってきた
だから机の上のカギを取り上げてやる
何でって顔で見てくる
「…ねぇ…カギ…」
「何?」
「…カギ…返して…?」
「何で?」
「何で…って…」
「……直さんのとこに行くから?」
「っ……郁「なぁ……、どうなんだよ…」
ヤバい…、素が出てる
敬語も何も忘れて、ゆっくり、ゆっくりと西川くんに歩み寄る
ジリジリと歩み寄り、もぅ何も考えられない
「……郁央さ…っ」
「なぁ……聞いてんだろ…、どうなんだよ!」
「っ!」
胸ぐら掴んで持ち上げる
「なぁ!」
「…っ離し…」
軽くて小さい体は片手で持ち上がり、西川くんはオレの手に手を重ねていて、その手は
震えていた
「…っ…郁央さん……怖い…よ…」
「…へぇ…、怖いんだぁ、…誰が怖くさせてるのさ……あぁ!?」
「ぅあ゛!!?」
思い切り壁に頭を叩きつけてやると、その小さな体は簡単に床に伏した
「あ……ぅ…」
「………」
ゆっくり歩み寄ると、畳がギシギシ云って
倒れた西川くんの姿はお世話にも綺麗とか、妖しいとは、言えない
片膝を立てて、片手で頭を抑えている
いかにも男
でも
嫌でも興奮する