歌姫様
□すれ違い ☆
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「……直さん?」
「うん…、片付け…」
そう言ってオレは食べたものを片付けて、西川くんは歌詞を書いていた机を片付けて、その間会話は一切無くて
「………」
何で?
何で何も言うてくれへんの?何で引き留めてくれへんの?
何で行くなって言うてくれへんの?
何で…?
郁央さんはオレと居るのが嫌なん?
…優しく『いいよ』言うつくれたつもりやろうけど…、顔が怖いんよ…
気付いてへんねやろな…
「……終わった?」
終わって話しかけると西川くんはビクッて反応して、慌てて片付け始めた
「まだ終わってなかったんだ、手伝うよ」
「あ…っ…うん」
何でビクビクするの?
何で?何で?
………ムカつく…
「……っ!」
ちょっと手が触れた
だけなのに
「あ……、っ…ゴメ…」
バッと手を引っ込めて、オレから離れると怯えた目でオレを見てくる
「………」
きっとスゴい目してるんだろうな…オレ…
「…っゴメン…、片付け終わったから行くなっ」
西川くんは急いで上着を着て、タバコと財布と携帯を持って帰ろうとする
「………」
車のカギを忘れてる