歌姫様
□大切な ☆
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「どなぃしょ…」
濡れた髪をそのままに、湯に浸かりながら呟く
呟くと言っても風呂場だから響くけど
直の事は好き、じゃなきゃ家に来させない
ただ怖い
きっと直は自分を抱きたがってる
初めて遊びに来た時に押し倒されたわけだし自分も立派な大人の男
付き合えばその先になにがあるのか、良く解る
だから怖い
だって貴教の中では
押し倒された=女役
の方程式が成り立っているのだから
だから怖い
ヤることはあったがヤられたことなど無い
「……怖いなぁ…」
だから直を避けてた
大好きだよ?
でも怖い
でも好き
大好きだから自分の総てを上げたいと思う
けどその心より先に
怖い
それが浮かぶ
もしスナが自分で感じなかったら?
スゴく感じやすくてHな事がバレたら?
それが怖い
でもそればかりでは2人は前に進めない
直だって自分を嫌うかも知れない
嫌われるのは嫌だ
嫌いになるのも嫌だ
「……ぅん」
貴教は何かを決めたようにザバッと水しぶきを上げ、風呂から上がった