歌姫様

□名前 ☆
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「おはよう」





もう一度











「良く眠れた?」












昔みたいに



















カーテンを締め切れた真っ暗な部屋
ベッドに縛り付けられた細い両腕
薄いYシャツ一枚
首輪

「…、……」

外から鍵のかけられた扉が開いて、人の気配

「おはよう」
「………」

人の気配と云っても、この家には自分ともう一人しか居ないのだけれど
自分よりもはるかに背が高く、力強い男
いつも悩ましげな、しかし妖しい笑いをこぼす
自分をこの部屋に監禁した人物

Gackt

「おはよ…」
「朝食だよ」
「……要らん」
「最近ずっと食べてないからね、食べなさい」

ベッドに座り、優しく顔を撫でる
撫でられた男
【貴教】は触るなと云わんばかりに睨んだ

「……、」
「……クス、少しだけ、食べよ?」
「…食えへん」

縛り付けられた腕を動かし、ギシッと鳴らせる

「じゃあ食べさせてあげようか」

クスクス笑い、スープをスプーンで掬い、貴教の頭を持ち上げ唇をスプーンの先でつついた

「……ぷっ!」
「っ…!」

Gacktの顔が近付いた時に、空気を吐き出し、Gacktの顔にかけた
熱かったのか、一瞬顔を歪ませる

「………」
「……───…」
「っ…!!」






 
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