婆娑羅
□一回で、いいから
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かすがが武田軍に入り、数日。
入った始めは、あまりにも急いで決めたため、自分の知らぬ所で話が進み、かすがを武田に入れる事を知らなかった幸村は不安を訴えたが、信玄のお言葉(言葉というより拳)で納得をしてくれた。
まだ、何もすることは無いと信玄に伝えられ、3日程好きにするがいいと言われたかすがは与えられた自室周辺から、必要最低限の場所の道しかしらず、建物内で迷子になりかけていた。
「・・・・・なんだこの構造は・・・。」
いっそ屋根から行ったほうが早いとも考え始めていた所で、幸村が通りかかり、話しかけてきた。
「どうかなされたか、かすが殿。」
「あぁ。屋敷が広くてな・・・恥ずかしいが、迷ってしまった。」
そう告げると、幸村は納得してように
「そうでござったか。どこかに向かうのなら某が案内を承ろう。」
「あぁ。助かる。・・・その、佐助の部屋は?」
そういうと、幸村は案内番をしてくれた。
「佐助。私だ。」
襖の向こうでカチャカチャと金属音がする、武器の手入れでもしているのだろう。
「ん?かすが?・・・・はいっていいよ。」
ゆっくりと襖を開けると佐助はいつもの黒い顔あては取り、愛用の手裏剣の手入れ中だった。
「悪いな。手入れ中の所を。」
「いや、全然?むしろ珍しいじゃん、そっちから部屋を訪問なんて。」
佐助はそこらにあったクナイを一本、ひょいとかすがに投げるとそれを受け取る。
見るからに切れ味が落ちているであろうクナイを軽く見つめたあと、かすがは不満そうな顔をし、
「・・・・・・・手伝えと。」
「ご名答☆」
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