□屋上欲情カタルシス
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昼時の屋上は風が気持ちよく、秋の空は透き通っていた。
ドアには立ち入り禁止と書かれた紙が貼り付けてあるだけで、海馬はこうして度々屋上に来ていた。
冷えた地面に腰掛けると、読みかけの小説をめくる。
「あれれ、海馬くんだー」
声がする方に顔を向けると、先程クラスの女子共が騒いでいた顔がコンクリートの壁の後ろからこちらを窺っていた。
どうやら先客がいたようだ。
「ここで何をしている?」
「え?うーんと、・・・」
にこにこと笑みを張り付けたまま、海馬の方に近寄ってくる。
何か不穏な物を感じ、海馬は知らず顔をしかめた。
―――こいつは何を考えているかさっぱりで、質が悪い・・・
「そういえば、クラスの女子共がお前の事で騒いでいたぞ。相手をしに行ったらどうだ。」
自分からこの場を立ち去るのは癪で、ふと思いついたままに言った。
大人しくなってしまった相手を不審に思い、本から顔をあげると真正面に女のような顔があった。
いきなりのドアップに面食らっていると、乱暴に小説を投げ捨てられ、獏良の顔に深い陰が落ちた。
「な・・・っ」
抗議の声をあげようとしたところで頬に痛みが走った。
そのままコンクリートに押し倒され、訳が分からずに相手を見ると、未だに笑みを浮かべた顔がある。
「僕はねぇ、ここで君を待っていたんだよ。ずぅっと・・・こうする事が出来る日を・・・」
あはは、と笑ったかと思うと急に表情を殺し、淀んだ目で見つめ返してくる。
一体俺が何をしたというのだ。
「それなのに君ってば、あんな牝共を構えって言うんだね。ひどいや。」
言っている意味が分からず、ただ呆然と見上げていると学生服を器用に脱がされ、素早く手元で結び動きを封じられてしまった。
「貴様・・・、何をしている。」