□御主人様の誤算
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天鵞絨のカーテンが月光に照らされてキラキラしてる


きれいだなー



・・・ああ、でも



また夜が始まってしまった。




他の執事やメイド達はもう夢の中だろう。


僕だけはそうはいかない。

だって僕は、ご主人様専属のメイドさんなのだから。




「遊戯」



寝室へ足を入れると、直ぐにご主人様は僕を呼んだ。


「・・・」


なるべくスマートに見えるようにご主人様のベッドへと近づく。


真っ白なフリルのエプロンが、動く度に優雅に踊る


本来執事である僕が着ているのは、ご主人様が面白がって着せたメイド服。


僕が周りから変な目で見られるのはいいけど、
海馬く・・・ご主人様の方が変な目で見られちゃうって事には気付いてないみたい。



僕はご主人様の専属メイドさん。


城之内くん達には、海馬邸で執事として働いていると言ってある。

頼れる人が居なくなった僕を、御主人様が拾ってくれたから。





僕は毎晩ご主人様が望む通りに、添い寝をして差し上げる。


僕にとって、それがどれほどつらい事か分かっていて
こんな命令をするあなたは酷い人だ。



「ふふ・・・、来い遊戯」


「海馬くん・・・」



2人きりの時には名前を呼ぶ


敬語は禁止



これも海馬くんが作った意地悪な命令だ。


甘い期待をくれる、意地悪な命令だ。



それに海馬くんは、ただ添い寝をするだけじゃ許してくれない日がある。

そういう時は
君への甘い期待を募らすような悪戯を仕掛けてくるんだ







「おやすみなさい、海馬くん」


まるでお姫様のみたいな、天蓋つきのベッドに2人で横になる。


ふわふわのシーツに包まれて、僕は幸せだけど、幸せじゃない。


想いを寄せる人が無防備に横で寝ているというのに、

こんなの酷すぎるよ





「っぁ、」




海馬くんに背を向けていたら、いきなり内股に触れられた


背後からまわされた細い腕に、僕は胸の高鳴りを抑えられない


海馬くんは僕の想いなんか、これっぽっちも気にせずに服の上から愛撫を送ってくる


「か、海馬くん、ダメだよ・・・」

「お前の行動権は誰が握っているか、お忘れか?遊戯」


くつくつと笑う度に、耳元に海馬くんの吐息が当たって、胸の中のまっくろな欲望が膨張していく


「あ、あ・・・・っ」


直に熱に触れられて、大好きな君の手は相対して冷たくって

やけに興奮した



















翌朝、
海馬くんと共に学校へ行き、教室に入ると城之内くん達が声をかけてきた。

海馬くんは興味が無さそうに、自分の席につくと読書を始めてしまった



「なー、遊戯!面白いもん見つけたから貸してやるよ!
驚くぜー?
あ、でも今ここであけんなよー!!」

「?、ありがとう!」


四角い袋を渡され、言われた通りにすぐにリュックにしまった





いつも通り彼の仕事が終わる前までに屋敷に到着した僕は、制服を着替えて、渡された物をそっとリュックから取り出してみた


袋から取り出した物は、ビデオテープ。

明らかなピンク色の字でデカデカとタイトルが書いてある


ただの厭らしいビデオなら、まだましだった。



それなのに・・・・





"女主人と女装メイドの淫らな夜"




・・・・・・・・





な、なんでこんなにピンポイントなの・・・・!!



しかもパッケージに写った女主人が海馬くんにそっくりだ。

僕は湧き上がる欲に慌てて首を振り、ビデオテープを袋に戻そうとした
が、
袋の中にあったのか、ひらりと紙が落ちてきた




『海馬にそっくりなAV女優発見!面白いから遊戯にやるよ』




城之内くん・・・・


どうしよう、すごく・・・・有り難いんだけど

凄く迷惑だ・・・





「おい」


「わぁぁあああっ?!!!」



背後からいきなり声を掛けられて、仰天してビデオテープを落としてしまった


「あっ、」


すかさず海馬くんが拾ってしまい、僕はきっと顔を真っ青にして、これからどうすればいいのか必死で考えた。


「・・・・ふぅん?お前もこういう類の物に興味があるとはな。」

鼻で笑った海馬くんは、興味深そうに僕の顔を凝視してくる


「ち、ちが・・・・、城之内くんがくれて・・・・」


「凡骨がだと?」


城之内くんの名前が出て、あからさまに嫌な顔をした海馬くんを不思議に思っていると、急に海馬くんは僕の腕を引いて廊下を進み始めた。

なんだろう・・・僕、これから尋問でもされるのだろうか。


「あ、あのっ、海馬くん・・・」

海馬くんは歩調を緩めずに薄暗い部屋へと入っていった。






暗さに目が慣れてくると、連れてこられた場所が客室だという事がわかった

巨大なベッドが中央にあり、それを囲むように本棚が聳え立っている


海馬くんがベッドの脇にあるスイッチを押すと、目の前にスクリーンが降りてきた

ま、まさか・・・

嫌な予感がした。
海馬くんが持ったままのビデオテープ、連れてこられた客室のスクリーン



予感は的中した。






『ご、御主人様・・・!お止めくださいっ』

『生意気な奴だな。私に命令するつもり?』



スピーカーから音声が流れてくる。


スクリーンにはでかでかと、海馬くん似のAV女優と女装をさせられた少年が映っている。


海馬くんは軽蔑の色を滲ませた目で一瞥すると、僕をスクリーンの前にあるベッドに突き倒した。


「うわぁっ!」

「ふん、所詮お前も男だな。こんな趣向が好きだとは。」

「ち、ちが・・・!」

「俺は面白がってお前に女装させていたが、実は悦んでいたのか?」

「な、」

「この変態」


海馬くんはAV女優が自分に似ているという事は全く考えてないみたいで、
僕が女装好きだからこういう趣向のビデオを借りたとでも思ってるみたいで


・・・挙げ句の果ては、変態呼ばわり?




「・・・・・・違うよ」


上から見下ろす海馬くんの腕を強く引くと、僕の体に密着させた

「な」


「僕ね、このAV女優が海馬くんに似てるから観たいと思ったんだよ。」



びっくりして僕の顔を確かめようとする海馬くんを、思い切り強く抱きしめる


「・・・ねぇ、この意味、わかる?」



僕はもう、
海馬くんに嫌われたって、もうここには居られなくなったって、

こんな風に想いを募らせるばかりで傷付くだけならば、無理やり海馬くんを手に入れたいと思った


「遊戯・・・?」


酷く傷付いた表情で僕を見る海馬くんをベッドに押さえつける



ああ、そんな顔をする程に、僕に触れられるのは嫌なの?



こうしている間にも、スクリーンに映った映像は流れていて、

媚びた声がスピーカーから聞こえてくる


僕は思い切り海馬くんのシャツを引っ張り、興奮からか湿った手で素肌を撫でた


「やめっ・・・、」
『あ、ああっ!!やめ・・・・』

『御主人様・・・』


「っ、」


スピーカーからの声に海馬くんが体を強ばらせる


「ねえ、海馬くん。あの映像と同じように抱いてあげるよ」

「な?!」

「僕、こういう事するの、海馬くんが初めてだから。」

そう言うと、一層悲しみを深くした瞳をして抗議をしようとするから、僕は唇を塞いだ


「んむ・・・・!!」


ああ・・・・・海馬くんの唇・・・
柔らかいな・・・



僕はキスをしただけでどうしようもない位興奮して、性急に海馬くんのズボンを下着ごと下ろすと、彼の性器に触れて強く擦った


「ん!!!んーっっ!!!」


しつこく彼の舌を舐っているせいで、海馬くんの嬌声は僕の口の中へ消えていった


彼の淫らな姿に反応している僕自身を、スカートを捲って下着越しに海馬くんの太ももに押し付ける


「っは、や、嫌だぁ・・・!!!」


海馬くん、海馬くん・・・


可愛い海馬くん


『御主人様・・・好きです』

『待っ、あ、あぁあー!!』


スクリーンではメイド少年が御主人様と繋がる場面が映し出されている

海馬くんはそれに気付くと、真っ青な顔をして僕を払いのけようとした。


「だめだよ海馬くん。」


逃げようとするなんて、許さない


今から君を手に入れるんだから



「君は僕の物なんだから」

「・・・え、・・・!!あっ、ああっ、うぁあー!!!」


僕の言葉に呆然としている彼の両足を押さえて、

熱くなった僕の欲望を、彼に突き刺した


「あっあっ、あっ、や、やだぁ、やだっ、あ!!」

『あ、ああんっ、』

「!!!」

『御主人様の中、気持ちいい・・・・』

「僕も・・・海馬くんの中、熱くて気持ちいい」

「き、さま・・・!!!ひぁ、ひああっ!!」


ビデオの声に合わせて卑猥な言葉を浴びせると、強く睨みつけてくるものだから、
僕は苛々して一層強く打ち付けた。


「あ゛ぁっ、あっあぅっ!!!あっ!!!」


パンパンと肉を打ち付ける音が、スピーカーからの音と重なる。


「ゆ、遊戯、遊戯・・・・」


海馬くんが泣いてる・・・

もっとその顔を見ていたいのに、何故だか溢れてくる涙でくすんでしまった



「・・・ぁ、あっ、なっ何故、お前もっ・・・泣くん・・・だ・・・」

「それは・・・・、


海馬くんが、好きだからだよ」


「!!!」


彼の驚く顔を見る前に、強く腰を押さえつけて達すると、


海馬くんは、微笑んだ












「遊戯ー!!今日も海馬ん家かよー?たまには遊ぼうぜ!」

「ごめんっ!またいつか誘って!」



数日が経って、僕と海馬くんはすれ違いをしていた事を知って、今では恋仲です




「あ、あとっ、ビデオありがとう!!」





早く帰って、御主人様の帰りを待とう


僕の、御主人様の












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