†カミツレの花壇†


□武蔵野第一図書館競技大会!?
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「よし!お前等!!地域住民と親交を深める為に、競技大会をするぞ!!」
「「「「は?」」」」

全てはこの…玄田の一言から始まった。


《武蔵野第一図書館競技大会!?》


「何を言ってるんですか!!隊長!?」
当麻事件も終結し郁と堂上が付き合いだしたある日の朝礼で、何を思ったのか玄田は声高に宣言した。
当然退院したばかりの堂上は噛み付き、緒方は溜め息をつく。
『また始まった』とばかりに呆れる進藤に、迷惑だと顔に書いた手塚。相変わらずニコニコしている小牧。

そして…。

「競技…大会…。」
キラキラと瞳を輝かせる郁が、玄田をジッ…と見ていた。
「お?何だ笠原。お前競技大会やりたいのか?」
ニヤリと笑う玄田に、郁はハッとして周りを見渡す。
やめておけと言うような進藤と緒方に、げんなりとした表情の手塚。
やっぱりニコニコ笑う小牧に、眉間にシワを寄せた堂上…。
「…いえ…他の業務も有りますし、あたしだけの意見じゃ通りませんから。」
あははは…と乾いた笑いを飛ばし、郁はデスクに座った。
走る事が好きな郁…。
競技大会といえば体を動かし、自分の体一つで競い合うのだから懐かしくなったのだろう。
フゥ…と堂上は溜め息をつき、玄田へ向き直った。
「…タスクフォースだけでは無理でしょう。業務部と防衛部にも声をかけて、企画がとおればやればいいじゃないですか。」
「「「堂上(教官)(一正)!?」」」
珍しく堂上から出たお許しに、小牧さえ目を見張って堂上を見る。
「…業務部の人員数、防衛部の訓練内容。タスクフォースのシフトを見たら出来なくは無い。」
堂上は仕方なくという風体をしてはいるが、照れているようにもみえた。
まぁ、玄田が言い出せば無理を押し通すのも分かりきっていたので、他の隊員達は各々の業務に戻って行った。



「…すみません。」
「ん?何を謝っとるんだ?」
館内業務の返却図書を戻している最中、郁は堂上に謝った。
「…競技大会。教官は…本当は嫌だったんじゃないですか?」
シュンッ…と俯く郁は叱られた犬の様で、堂上は苦笑しながらその頭を撫でた。
「…隊長が言い出した時点で却下出来なかっただろ?…それに、俺は郁が走る姿を見たい。」
急に恋人モードで話した堂上に郁は赤面して頷く事しか出来ず、堂上は郁の髪をひとしきり撫でた後業務を続行した。
「笠原…競技大会の内容、相談に乗れよ?」
「っ!?はいっ!!」
急にかけられた言葉に、郁は満面の笑みで答えた。



「彦江司令も賛同して下さったし、防衛部と業務部にも声をかけた。内容は…堂上、お前が決めろ。」
「………分かりました。」
結局は自分に回って来る事を分かっていた堂上は、早く日報を出せと郁に視線だけで言う。
その視線に郁も、日報を書き上げるスピードをあげた。
「堂上一正。終わりました。」
「堂上、俺も終わり。先に帰るよ。」
手塚と小牧が日報を提出し帰寮に着き、郁も堂上にやっと日報を提出した。
「お疲れ様です。」
「あぁ、お疲れ。」
堂上に一礼し、郁は退室しようと踵をかえすが思い出したように足を止めた。
 

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