復活

□君にだけみえるもの
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「にゃー」


一度鳴いてみる。
だけど、僕の前を歩く人間は、立ち止まる様子、と言うか気配すらなく、早歩きで去っていく。
まぁ、聞こえてないんだから、立ち止まるもなにも、僕の存在にすら気づいていないんだけどね。

(本当、つまんないな…)

場所は、並盛公園のベンチの上、つまらないを主張するように欠伸をひとつもらしてからしっぽをふり、体をまるめて寝る体勢をはいる。
目を閉じて、いざ夢の世界へ。と思った瞬間、人が近づいてくるのを感じた。
どうせ向こうには見えないし、気にすることないけれど、見えないが故にふまれてしまっては堪ったものではないと、相手の行動を確認するために目を開ければ視界を埋め尽す琥珀色。
不意打ちの色に驚きを隠せるはずもなく、僕は飛び起きて数歩下がった。
すると、琥珀色の全体がみえ、その琥珀色は、きらきらとした瞳でこちらを凝視した。

「わー!ねこさんおきたー」

にこにことと嬉しそうに笑うそれは子供で、顔だけ見たら少女のようだが、服装を見たら少年ともとれる子供特有の中性らしさがみえる。

「(どっちなのさ)誰?」
「つっくんはねー、なみもりよーちえんももぐみ、さわだつなよしよんさいです!!」

あいっ!と元気よく手を上げる子供…沢田綱吉というらしい。
名前からして男だと推測できた。
ふぅん、と一言もらしてから、子供から顔をそむけた時、横から感じる強い好機な視線に、僕は大切なことを思い出した。

「君…僕が見えるの?」
「?つっくん、ねこさんみえるよー!」

一瞬首を傾げてからコロコロと笑い、僕の頭を撫でてくる子供に唖然とする。
なんでこの子僕が見えてるの?
なんで触れてるの?
信じられない。
撫でてくれる手は暖かいのに、僕の心ははじめての事に冷えまくりで、触れてるそこは氷と熱の関係のように溶けてしまいそうで、でも何故か振り払う気にもならずに、考えることに疲れた卜は頭を前足においた。

結局子供は、満足するまで僕の頭を撫でつづけた。






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