長いおはなし
□Can't Stop Fallin' In Love
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「リーマスに、担当をしてもらいますから。」
「…はぁ。」
「よろしく、セブルス。」
差し出した手。ルーピンが、闇の魔術の担当だと?目を合わせることなく、軽い握手で立ち去った。
なぜ自分ではない。
毎年、新任ばかりで。
この学校の花形教科の一つを、コロコロと教師を代えていいのか?
強い日差しが、庭一面をぼんやりとさせる。
壁に拳を打ちつける。やり場のない怒り。
「…………っ。」
本当にやり場がない。
部屋に戻り、イライラしながら、落ち着かせるために、紅茶を淹れた。
二口程、喉を潤した。
大きなため息。
天井を見つめ、考えているのか、考えていないのか…時間だけが過ぎていくのが、わかるくらいだ。
「いいかい?」
ノックと一緒に、声がした。まだ、馴染みのない声。
「入りたまえ。」
誰かはわかっている。
「久しぶりだね、セブルス。相変わらず、そっけないけど。」
「ようこそ、闇の魔術の先生。万年薬学教授に、何かご用かな?」
「イヤミたっぷりだ。」
学生の頃から、顔色はよくない方だった。
疲れているのがわかる。
「長くなりそうか?」
「お茶でも、出してもらえるのかな?」
…苦手だ。しなやかに、受け答えをする。