長いおはなし
□Can't Stop Fallin' In Love
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新年はホグワーツで迎えた。特にはないが、いつもより高いワインを飲むくらいだ。闇のなか雪が舞っている。粉雪か。
コツコツ
粉雪の中、茶色のフクロウが窓をつついている。リリーからの手紙だ。
雪をはらってフクロウを部屋の中に入れる。
「さぞ、寒かっただろう。」
頭をなで、部屋に放した。つかまりやすく、暖かい場所に移動した。暖炉の近くだ。そばにビスケットを砕いたのを器に入れておいた。
彼女からの手紙の封をあける。心臓が高鳴る。淡いブルーの便箋。
――新年はどう過ごしてますか?これを読んでいたら、ホグワーツね。 クリスマスはびっくりしたわ。まさか、あなたに会えるなんて。ごめんね。よそよそしい感じだったでしょ?ジェームズや、ハリーの前では……ね。よかったら、あなたの誕生日、一緒に食事をしませんか?もちろん二人で。 いい返事を待ってます。 あなたの幼なじみリリーより。――
「いい返事……か。」
さて、どうする?誕生日を祝ってくれるのか。この歳になるとあまり関係ないからな。ましてや独り身。食事するくらいなら……。
引き出しの奥からタバコを出す。最後に吸ったのは……前、付き合っていた彼女と別れたときか。