妄想 2
□雪の降る日
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「寒いな…。」
窓の外は白銀だ。セブルスの嫌な季節の一つ。
図書室には暖炉が赤々と燃えている。しかし彼は隅の薄暗い窓辺にいるから暖かい空気は来ない。彼の心にも届かない。
雪の中を楽しむ生徒達。文科系のセブルスは羨ましいともなんとも思わない。
「よく、寒い日に出てけるよなぁ。」
ぐらいの感覚。
そろそろ寮に戻ってお気に入りの本を読もうかな。最近は頭を使うのばかり読んでいたから…。と、思いながら寒い廊下を足速に歩く。
「み〜つ〜け〜た。」
来た。見つけた じゃないだろう。完全なる待ち伏せ。
「寒い日はね、甘いモノを食べるといいんだよ。」
「僕は甘いのはあまり好きじゃないんだ。」
「いいじゃない。落ち着くよ。」
ルーピンからもらったチョコレート。冷たい。彼の手も…。
「ルーピン。待っていたのか?こんなに冷たいじゃないか。」
「うん?気にしないでよ。好きで待っていたんだから。」
「ねぇ。セブルス…僕を暖めて。」
いつもなら腹黒いルーピンが素直に…ましてやこんな仕草でセブルスを誘うなんてなかった。あのはかない瞳で…。
「じゃ、大広間にいこうか?」