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□恋人たちの朝食
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−恋人たちの朝食−
Side-T
朝の出勤時間。
毎日規則的な私と、不規則な貴方。
それでも、朝ご飯は一緒に食べようって言ってくれたから。
普段から朝はあまり食べない貴方だけど。
それでも、「お前が一生懸命ご飯作ってる姿、見るの好きやねん」って言ってくれたから。
私は毎朝、愛情をたっぷり込めて朝ご飯を作る。
どんなに遅く帰ってきても、必ず時間になると私にくっついてきて。
「おはよぉ」って一言残して、私から離れて洗面所に消える貴方を見送るのも、とても幸せなひととき。
洗面所から戻ってきても、すぐに寄ってきて私の側を離れない貴方の温もりを感じるのは、何度体験しても飽きないの。
「剛、まだ眠そう。寝てていいんだよ?」
「あかん。一緒にいる」
「甘えた剛ー。そんなくっついてたら作れないよ」
「んふふ。頑張ってー」
何気ない会話も、とても楽しくて、とても大切。
夜ご飯を一緒に食べられなくても。
夜は一緒に寝られなくても。
朝ご飯の時は、一緒にいてくれる貴方。
お気に入りのコーヒーを入れた、お揃いのマグカップと一緒に。
出来上がった料理で彩られた、お揃いの食器と一緒に。
貴方が待つテーブルに向かうのが、とてもとても大好きなとき。
「いただきます」って二人で言った後、「うまそー」ってはしゃいでくれる貴方。
口に運んだ後、必ず「ん。うまい」って言ってくれる貴方。
そんな貴方が、私は大好き。
「幸せって、こういうことを言うんかな」
「いきなりどうしたの?」
「んー。俺、今めっちゃ幸せやなーって。大好きな人と一緒に朝を迎えて、こうやってご飯も食べてさ。すごくありふれた、日常的なことだけど、俺にとっては………めっちゃ幸せなことなん」
「私も、剛と同じこと思ってた。」
「ほんま?」
「んふふ。何か嬉しいね」
二人で過ごす、貴重な時間。
二人で過ごす、穏やかな時間。
二人で過ごす、最高のひととき。
貴方と過ごす、朝の何気ないひとときが、私を薔薇色の世界へと導いてくれる。
きっとそれは、今日も一日頑張ろうって思える、一番の栄養剤。
二人で一緒に朝を迎えよう。
二人で一緒に朝ご飯を食べよう。
明日も明後日も、その先もずっと。
「ごちそうさま」
「一緒に後片付けしよーな」
−Fin−