Past CLAP
□恋人たちの休日
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
−恋人たちの休日−
Side-K
一ヶ月に一度あるかないかの二人揃っての休日。
心地よい眠りから覚めて、ふと隣に感じるのは、未だ夢の世界にいる愛しい彼の存在。
先に起きるのは、決まっていつも私。
気づけば、昨夜から途絶えることのなかった優しい温もりが、今もなお私の体を支配している。
光一に抱かれながら過ごす、ゆったりとしたこの時間。
ベッドの中からなかなか抜け出せない理由の一つ。
気持ちよさそうに寝息を立てている彼を間近で観察できるのは、先に目覚めた私の特権。
切れ長の目と、伏せられた睫毛。
色っぽいほくろと、少し厚めの唇。
光一のすべてが、私の欲情を掻き乱す。
何だかそれが妙に息苦しくて、それでもずっと光一を近くに感じていたいのも事実で。
理性と本能の戦いが私を翻弄させる。
そんな自分自身との戦いにピリオドが打たれそうな時、光一は決まって目を覚ます。
「おはよ………」って、エロス全開、掠れた声で囁くその唇。
「なーに、また俺の顔に見惚れてたん？」って、今にも避難注意報がでそうなその雪崩顔。
「お前だけずるい」って、さらに強く抱きしめる､その力強くて、たくましくて、それでいて優しい腕。
その全てが、さっきの戦いで勝つはずだった理性を脆くも崩し、私の本能を呼び覚ます。
「光一は、私だけ見てればいい」
「もちろん」
「光一は、私だけ感じていればいい」
「そのつもりやけど？」
「光一は、誰にも渡さない」
「独占欲のかたまりやな」
「そうさせたのは、光一だよ」
広く、温かい胸に身を寄せ、光一の鼓動を感じる。
若干、鼓動が激しいと感じるのは気のせいではないと思う。
そうさせているのは、紛れもなく私自身。
いつも冷静で、クールな光一を乱すことのできるのは私だけ。
その優越感が、さらに私の本能をかきたてる。
「なんや……今日は積極的やな」
「光一のせいだよ」
「たまにはこういう休みも悪くないな」
「好き……」
「知ってる」
私が光一に溺れる日。
光一が、私の心をいつにも増して狂わせる日。
光一が、私の体をいつにも増して熱く燃えさせる日。
そして同様に。
光一が私に溺れる日。
私が、光一の心をいつにも増して狂わせる日。
私が、光一の体をいつにも増して熱く燃えさせる日。
それは一ヶ月に一度あるかないかの二人揃っての休日。
「一生はなさないから」
「お前こそ、覚悟しぃや」
−Fin−
→Next is T