†葵染 析SIDE†

□べにひめ
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シーツの波に流れる深紅の髪が綺麗で…


俺は貴方に魅せられていて―――……









 ○べにひめ○










さっきまで開いていた大きく好奇心旺盛な瞳は閉じられ

唇は小さな吐息ばかりを零す


華奢な身体はゆっくり確実に呼吸をし

自分よりも少し小さな手は一つの目的の物を握っていた




何度見ても飽きない光景。


可愛いと何度感じたか、

綺麗だと何度思ったか‥‥




これは全て俺の物。



誰にも侵されたくない物。










ゆっくりと指で唇を撫でる。




柔らかいそこは、

俺しか知らない場所。




微かに震えた睫毛に、起こさぬよう指を離す。







これは俺の物。







何度考えても嬉しくて


何度も何度も触れたくなる。







バカみたいな独占欲を見せるのは、貴方が疲れて寝てしまっている時だけ。





こんな風に顔を見つめるのも。





起きている貴方の瞳には力があって、俺の狡い欲望まで見透かされそうで…





こんな自分をあまり知られたくない







閉じ込めて置きたくても、貴方は羽根を持ち、簡単に飛び立てる…


綺麗に綺麗に宙を舞い、

俺の手をすり抜ける…





それがとても悔しくて、こんな風に貴方を想っているだなんて知られたくない。


独占欲と欲望の塊の俺の心を…








ふと、眠っていた身体が俺の方に擦り寄る。






寒いのだろうか…?




抱き締めてやると、安心したように唇を軽く微笑ませる…









それだけで鼓動が高鳴る自分が情けない







それでも、貴方の可愛さには敵わない。





俺は溺れて抜け出せない所に居る。




閉じ込められているのはきっと俺の方だ




貴方の小さな鳥籠に閉じ込められて

貴方しか見えない。






それでも、無償の愛をくれる。






鳥籠の中で自分の心にもがいている俺を全身で愛してくれている。




どんな時でも
笑って俺を抱き締めてくれる。





甘えているのはきっと俺の方…




この無償の愛の心地よさに
信じられないほど深く深く浸かっている…
 
 
 
 
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