†葵染 析SIDE†

□across
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今日で一週間…





部活でも何故か上手い具合に擦れ違い。





「……あの人‥何してるかな…」













   ○●across●○











こんなに会わない日は初めてだった。


部活でも一緒な筈なのにどうしてか顔も見れない…







「はあ……」






出るのは溜め息ばかり…






今何してる?


会えないこの日々をどう思ってる?






俺の事、考えてる…?







「……何でこんな事考えてんだか…」








日吉は机にある宿題に手も出せずに居た。







考えるのは岳人の事ばかり…










「……重症だ……」





会いたい…







会って話したい。



キスをして抱き締めて…




柔らかい髪や肌に触れて…







自分の中に閉じ込めたい…








「………好きだ………」






届かない声は消えそうなほどか細い







せめて声だけでも




何をしているかだけでも知りたい…







人を好きになるつもりはなかった。





初恋は有ったんだろうが、よく覚えていない。





きっと今の恋がとてつもなく大きな物であるが為。




あの人の存在が大きい。





毎日会いたい。







「…そう思うのは、俺だけなのかな…」





また溜め息が零れる。






こんな事なら、写真くらいもらっておくんだったな…






写メとかさ…







「…あ……俺が拒んだんだっけ…」













数日前






『なー日吉ー、日吉の写真か写メ撮らしてよー?』






岳人がせがむように日吉の袖を引っ張る。






『嫌です。写真は苦手です。第一、毎日顔見てんだから写真なんていらないでしょう?』







素っ気なく吐き捨てる。






岳人はムッとし拗ねていた。






『……ちぇっ…イジワル、ケチ…』










膨れっ面の岳人を思い出し、日吉はクスクスと笑う。







何気に岳人のあの顔が好きな日吉はいつもイジワルを言ってしまう。







意地っ張りで、強引。だけど何処か控え目で、なかなか人に甘えない。
手を繋ぐと、とても喜びハシャぐ。
キスをすると嬉しそうに目を伏せる。
抱き締めると少し戸惑い、逆に抱き締め返して来る。








好きだ―…







愛しい、恋しいとはこんな事か…








笑った顔が見たい







会いたい








「……くそ…っ」








シャーペンを放り投げ、日吉は自分の部屋を出る。






長い廊下を歩き、靴を履き外に出る。






涼しい風が頬を撫でる。







「……少し、頭スッキリさせなきゃ…」







住人の居ない日吉の部屋から携帯が鳴っていた










着信は













岳人だった……
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