□黒ノ晦日
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「もう、何人の人に抱かれたの?」




がたんがたん、
揺らしながら聞いてくる。

うざったい質問。




「体ってさ、不思議だよね。たくさん覚えるたび気持ちよくなる。」




あ、

と上がる自分の声もうざったい。




「同時にさ、忘れてくもんね。前のやつの気持ちよさとか。」




ん、あ、






止まらない。
気持ちいい。
確かに。







「戦いも一緒だよね。この間面白いヤツに会ってさ。」






無駄口が多い、
゙大切な客゙とはいえ、
戯れ言が多すぎる






「気持ちよかったな、アイツと戦うの。今までの強いヤツなんか忘れたよね。」






がたがたん、
激しさが、増す。






あ、あぁ

痛い、
やめろ

壊れる、
体が、










「あの銀色。」










びくりと体が反応した。
さぞかし面白い顔をしているだろう、今。









そんな姿を見て、
ニタァと浮かべた笑いは、

勝利の確信。












利用されるのはどっち?
いつだって、
喰うか喰われるか。











遠く、
遠く

暖かい腕の記憶、


かき消す、
現在(いま)。






「もっと、気持ちよくしてあげるから。」

耳元で聞こえる声に、
体がのけぞる。



窓から見えた暗闇は
濃さを増すばかりで








朝が来るなんて、
思えない












黒ノ晦日
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