創
□梅の灯
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2月も後半とはいえ、まだ冬景色。
落葉した木々は何も抱かず、針葉の木は無愛想に立ち尽くす。
色も無く殺風景、季節が眠る、その景色。
そんな中、所々に灯がともったような、白く明るい場所が有る。
梅の花だ。
肌に触れる空気はまだ冷たい。というのに、あえて今咲こうという。
そして、
春には散っていくのだ。
周りがようやく花咲く頃、散りかけの醜さ見せつけながら。
咲く事は美しいだろう。
散ることは醜いだろう。
ただ生き急いでいるわけではない。
見せてやるのだ、自分達のなれの果てを。
今日も、雨天の空の下。
媚びる事無く咲くあなた。
暖かくなる事を待ってなんかいられない。
でも、
もっと暖かくなってから、咲けば良いのに。
なんて私も思わない。
その姿に一番見とれているのは自分だから。
ああ、
あの人みたいだと。
梅の灯
(来島→高杉視点)
終わり。