NOTE
□止められる衝動
1ページ/7ページ
「あ、ルルーシュ」
「スザク!何してる!逃げろ!」
逃げなきゃいけないのはわかってる。
でも君は放っておいたら捕まる。
そんな君を放っておけるわけ、
ないじゃないか。
*止められる衝動
「暇ねえ」
会長が発したその一言に、僕、ニーナ、シャーリー、リヴァル、ルルーシュでさえも。その肩をびくりと震わせた。
唯一カレンだけは、あまり学校に来ていないため、特に気にすることもなかったようだが。
「いよーっし!!」
会長が立ち上がる。
カレン以外の全員が、ああ、また始まった、と嘆息した。
会長はスピーカーをオンにし、マイクがあるにも関わらず大声で叫んだ。
「第一回!真夏のどき☆ドキ!生徒会メンバーキス権争奪戦かくれんぼ大会開催ーッ!!」
生徒たちは、待ってましたとでも言うように歓声を上げた。
こちらからしてみれば溜まったものじゃない。だがもういつものことだし、会長に何を言っても無駄だとはわかっていた。
「…会長」
ルルーシュは読んでいた本を閉じて会長に向き直る。
すると会長、ミレイは口角を上げてルルーシュをにやりと見つめた。
「ルルちゃぁん、たまには運動しなさいよお?」
それは、明らかに。
ルルーシュが大勢の生徒に狙われるだろうとわかった上での言葉だった。
ルルーシュはただでさえ暑いのに運動なんて、と歯噛みする。
だがそれとは対照的に、
「いいですね。運動しなきゃ、ルルーシュ、ね?」
スザクはルルーシュの袖を引っ張って首を傾げる。
ルルーシュは小さく舌打ちすると、頷いて、呟いた。
「鬼ごっこじゃなくてかくれんぼなだけ…マシだということか」
ミレイがマイクでルールを説明し終わったようだった。
ルルーシュはよく聞いていなかったが、まあいつもと同じだろう。生徒会メンバーが逃げて、捕まったらキス。
キス自体は構わないが、ルルーシュは追いかけてくる生徒の目が本気で怖いのだ。
「さぁーてぇ」
ミレイが笑う。
(…捕まる、ものか)
そして。
「どんっどん捕まえちゃいなさぁあい!」
ミレイが叫んで、そこにあった小さなベルを叩いて鳴らした。
「スタート――――ッ!!!」
→NEXT