NOTE
□きっとそれはね
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今日もスザクはため息を吐く。
そして彼は愉快そうに笑う。
スザクの悩みこそが、彼の最大の楽しみ。
*きっとそれはね
「なぁにぃスザクくん」
「…ロイドさん」
ロイド・アスプルンドはスザクの上司だ。
だがスザクはその上司が、自分が悩んでいるときに限って楽しそうなのを知っている。
だからその楽しそうな視線が心底不快だった。それはもう殴りたくなるほどに。
「…別になんでもないです」
「いぃやぁ?明らかに数値が乱れてるよぉー…えっへへへぇ」
「…体調が優れないだけです」
「身体機能は正常だねぇ」
スザクはまたため息を吐いた。
今日はセシルが休みだ。だから特派でロイドを止められる者はいない。
ロイドも同じ人間の男であるのだから、悩みの解決のきっかけくらいにはなるかもしれないと、スザクは重く口を開いた。
「…ロイドさん」
「なんだぁーい?」
その嬉しそうな声が癪に障る。
「ロイドさんは好きな人、いますか」
「婚約者がいるねぇー」
「好きな人、です」
ロイドはくるくると回りながら少し考えると、うぅーん、と少し唸って、笑った。
「いないかなぁー」
「そうですか」
それなら用済みだと言わんばかりにスザクは会話を切り上げた。
ロイドはそんなスザクの態度に心底がっかりする。
「なんだいなんだぁいスザクくぅん」
「なんでもないです」
「恋愛のお悩みかぁい?」
ぴくりとスザクの手が一瞬止まる。
ロイドはにやりと口角を上げた。
「で?何に悩んでるのかなぁー」
「関、係、な、い、で、す」
スザクはぴしゃりと拒絶すると、書類を見つめ始めた。
しかしその視線が書類など捉えていないのを、ロイドはわかっている。
「好きになっちゃいけない相手?」
「う、」
スザクが小さく唸った。
図星のようだ。
ロイドは近くにあった椅子に座って、少し離れた位置からまたスザクに話しかけた。
「障害はなにかなあー?」
「…別に、好きとかじゃないですよ」
そんなのありえないですし、とスザクが呟く。
ロイドはおや、と思いながら、スザクの反応から少しずつ状況を把握してきていた。
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