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□伝心
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『伝える』
それは言葉に出す、それだけの事なのだけれど
《伝心》
自分の本当の想いっていうのは、言葉として口に出さないとわからないと思う。
だから私は、一番大切な貴方に言葉を一つ一つ大事に紡ぎ出すように、伝えたい想いを全て言葉に出して伝えようと思った。
挨拶の時でも、食事の時でも……何等普段にありふれたちょっとした生活の中で、フッと湧き出た貴方への溢れるばかりの想いを、漏らさず伝えたいと思ったから。
だって、それがその人を『好き』だって事でしょう?
相手の考えている想いを知る事ができたら素敵な事でしょう?
ねえ、隼人。
それは私も同じ。
私も貴方がどんな事を考えてどんな事が嬉しくてどんな事が辛いのか全て知りたいと思う。
……そして、貴方が私の事を何時何処でどんな風に考えていてくれるのか。
私のように、何でもない日常にふと私の事を思い出して考えていてくれたりするのだろうか。
その時、貴方はどんな表情をしながら考えていてくれるのか。
そんな貴方の中に包み隠している想いの全てを受け取って独占したいと思う。
……それって、我が儘な事なのかな?