□変換生活
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日常に違う風が吹くことなんて

実は多々あることなのだ


《変換生活》


ああ、うん、わかってる。
リボーンが俺にそう易々と普通の日常をくれない事なんて。
そんな事、充分過ぎる程理解していたんだ。

俺だってな、いい加減慣れるんだよ、リボーン。

そうだ、そうだよ。
だから決して俺は動揺しているわけではなくてー…

「ーとりあえず、落ち着け」
「……お前が落ち着け、アホツナ」
呆れたような顔付きで、俺を見遣り、鋭い言葉を投げ付けてきたのは、言わずもがな、リボーンで。

ちょっと待て。
呆れたいのは俺の方だ。

「十代目?」
「獄寺君……」
くりっと大きく開いた目で、首を傾げる獄寺君を、俺は痛烈な思いで見つめる。

普段なら、好意を抱く獄寺君がこんな朝早くから俺の部屋にちょこんと座っている光景なんて信じられない反面、どこか嬉しい気分になりそうなものを……
けど、さすがにこれは…
「…獄寺君」
「はい?」
「君、何かおかしいとは思わない?」
「おかしい…?あ、髪型のここの部分がいつもより跳ねてないとかですか?」
「違うだろ?そんな微妙な違いをこんな深刻な顔して突っ込まないだろ?!」
違うんですか?とたいそう驚いた顔を見せる獄寺君。

いや、だからね。
驚きたいのは俺だから。

「よく自分の体見てよ?おかしいだろ?何で並森の女子制服着てんのとか、なんか背が縮んだとか、声が高くなったとか……な、何よりむ…むむむ胸…があるとかっ」
「何だ、ツナ。お前獄寺の胸なんてそんなとこ見てたのか。さすが、エロいな」
「違うわぁーっ!!揚げ足取るなぁー!!」
変態呼ばわりされた事に、かなりの早朝だということも忘れて声をあらげる。
「ああもう面倒臭い!直に言うよ!何で獄寺君、女になってるの?つーか、朝っぱらから二人で何してんの?!」
「それを言う為に、朝からこうしてお前をたたき起こしたんだろ」
「……別に朝でなくてもよくないか?」
少しは俺の迷惑と人権を考えてはくれないだろうか?
まあそんな事、言ったところでこの家庭教師には無駄だろうが。

「獄寺が女になったのはお前の為だぞ?」
「何で俺?」
「ボスのくせに、お前が女の一つもものにできない甲斐性なしだからな。将来の為に愛人を相手にする練習をしようと思ってな」
それで、手短な練習相手に獄寺君を選び、シャマルのモスキートで性別を変えたとの事だ。

てか、甲斐性なしとか余計なお世話じゃないか?
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