短編

□夢幻睡眠
1ページ/2ページ

温かい場所

温かい人

それは、繋がりに似た…


《夢幻睡眠》


「…タコヘッド…お前は何をしておるのだ…?」
「……別に」

仕事も終わり、夜自室で一人、酒を飲んでいるとタコヘッド…獄寺が突然部屋にやって来た。
やって来た…のはいいが……
何も言わずに、俺の座るソファーに座り、俺の側方に頭を付ける形で寝転んでしまった。

で、それが今の状態。

「何をして…というより、何がしたいのだ…と聞くべきか?」
「…知るか…」
目を閉じたまま、相変わらずそのままでいるコイツがわからなくなる。

まるで子供のように横になるその姿は、昼間の堅苦しい雰囲気とは別人のようで、少し笑ってしまう。
そして、コイツがこういった姿を曝すのが自分の前だけなんだということに、少し背徳感を覚える。

「…眠いなら自分の部屋に戻ったらどうだ?」
「………断る」
「なら、せめて俺のベッドで寝ろ。風邪ひくぞ?」
「…………やだ…」
本当に大きな子供みたいだな、と苦笑しながら優しく頭を撫でてやる。

すると…小さな声で、

「…自室や…お前のベッドじゃ……お前いないじゃん…」

え………?

本当に小さな声だったため、一瞬聞き逃しそうになったがー……

ほんのり耳や頬を赤くそめたコイツを見て、あ…と思い出す。


…そうか…今日は俺のー…


自然と顔が緩む。

もう一度頭を撫でてやる。

「…安心しろ…ずっと一緒にいてやる…」
そうすると、ゆっくり微笑んで。



大切な日に
大切な人と

共に過ごす時間はまるで
幻のような夢心地


→後書き
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ