短編

□甘く難儀な条件
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俺には好きな人がいる。

俺が十二歳の時、思い切って告白してみた。

「獄寺氏っ!俺、獄寺氏のことが、好きです!」
「…で?」
「え…『で?』って…」
「ガキが、んな事言ってんじゃねぇよ」

眉間にしわを寄せ、彼はため息をつく

「ガ…ガキじゃないです!」
「ガキだろうが。相変わらず弱ぇし、泣き虫だし」
「うぅっ…」
が…が・ま・ん
「あほな事言ってねぇで、もうちっと修行しろ」


酷いです。
貴方と俺の差は凄く遠くて。
確かに俺は貴方の言う通り、ガキで弱くて泣き虫で…
年の差も9つもあって。

近付きたいのに、決してその差は縮まらなくて。


貴方を好きな気持ちは誰にも負けないのに、
貴方を想う気持ちは誰よりも強いのに


あぁ、もう、
また涙でてきちゃったよ…
今言われたばかりなのに…

鼻をすすっていると、彼がまた大きなため息をついた。

ー呆れられてる

本格的に泣きそうになった時、獄寺氏が近付いてきて、俺の片頬に手をあてた。

「そんなに俺が欲しいなら、今よりもっといい男になるんだな。…俺が見惚れるくらいに、な。そうしたら考えてやってもいいぜ?」
イタズラをした子供のようにニィっと笑う顔。
その顔が、あまりにも綺麗で、俺は顔が真っ赤になった。

「…じゃあ、それまで待っててくれますか?」
「さぁな、あんま長いようなら無効だな」

愉しそうに笑う彼に、『絶対貴方が見てくれるようないい男になってやる』と、心の中で誓った。



ーあれから三年、

「ねぇ、獄寺氏」
「あ?」
「俺貴方の事、好きですよ」
「知ってる。何度も聞いた」
「相変わらず子供扱いですね」
「まだガキだろうが」

ボンゴレの彼の部屋で、ソファーでお茶を飲みながら、相変わらずそんなやり取りをしている。

少しは変われたのかな。

ねえ、獄寺氏
俺、少しは変わりましたか?

「…俺…貴方の言ういい男に、少しはなれました?」
「さあな、どうだろうな?まだまだじゃね?」
そう言い、一つ微笑んで彼は立ち上がった。

そして、ジャケットとネクタイをソファーに脱ぎすて、彼のベッドに腰掛け
「何なら、試してみるか?」
そう、色っぽく微笑んだ。


ああ、やっぱり
貴方には敵わない。


END →後書き
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