捧げ物
□相反相違
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「もういいよ」
「じゅっ…」
《相反相違》
ーーきっかけは、些細なことだった。
俺が用事があって職員室から教室に戻ると、獄寺君と山本が珍しく二人で喧嘩せずにしゃべっていた。
そこまではまだよかったんだ。
だって、あまりにも深刻そうな顔で獄寺君が山本に何か相談しているみたいだったから…
しかも、俺が来たのを気がつくなり、二人して気まずそうにその会話をやめてしまって。
獄寺君に後でそれとなく聞いてみたけど、なんだかんだとごまかされて。
そんな日が三日くらい続いて……とうとう我慢できなくて、俺は放課後獄寺君を屋上に呼び出して問いただした。
俺の質問に、終始言いずらそうに眉を寄せ、俯いて黙っていた獄寺君だったが、それが尚更気に入らなくて。
だから、感情的に責めるような口調で言ってしまった。
「なんだよ!そんなに俺に言えない事なのかよ!山本には言えるのに」
「…それは」
「そんなに俺は頼りないわけ?!」
「ーっ、違います!」
「だったらなんなんだよ!」
「だから何でもないんです…本当に」
何も変わらないやり取りに、何かが外れたようにカチンときて。
「………く」
「…え?」
「ムカつくって言ったんだよ!獄寺君って、俺の気持ち何にもわかってない!!」
勢いでそう怒鳴り付けたら、獄寺君は凄く傷ついたようなかなしそうな顔をして。