捧げ物

□愛しいあの子の口説き方
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「隼人…今日も一段と可愛いよ」
「隼人君、その美しいお顔にキスしてもいいですか?」

……何なんだ…?

この状況は………?


《愛しいあの子の口説き方》


放課後、十代目が補習で残っていらっしゃる為、俺は一人屋上で十代目の終わりを待っていた。

…そう、一人で……
いや、待っていた…はずだった

なのに、何だ。
この状況は。

「…おい、何してんだお前ら」
何故か俺の両横に立って、片方ずつ俺の手を握っている風紀委員長雲雀と黒曜の骸……
…何がしたいんだ…?こいつら………

「何って…口説きに来たんだよ、君を」
「いい加減、君は誰のものかはっきりさせようと思いましてね」

うん、ああ、そうか。
こいつらアホだった。

澄み渡る青空を見て、そう思った。


「ちょっと、聞いてるの?」
「…ああ、聞いてる。聞いてるが、その入って来た情報を速やかに消去したいと思っている」
「クフフ…隼人君、照れなくてもいいですよ」
「…羨ましいな、その都合のいい思考回路」

…つーか、手…離せよ…

「……大体な、雲雀。『可愛い』ってなんだ。男が言われてもちっとも嬉しくねぇよ」
「可愛いもんは可愛いんだから、仕方ないジャン!」
「『ジャン』って言うな!!お前、キャラじゃねぇぞ?!」
…どうした…?!雲雀っ!

「…それからな、骸!口説きに来たのに、何で最初っから実力行使なんだっ?!」
いきなりキスしていいかなんて、ただの変態だぞ?!
「すみません、あまりにも可愛い顔だったので」
「だから、可愛いって言うな!!!」
話聞いてんのか?こいつら?

「そもそも『口説きに来た』って何だ?俺は男だぞ?…てか、何で俺なんだ?」
「「隼人(君)が可愛いから」」

…こいつら、本当に人の話聞いてないよな。
散々『可愛い』って言うなって言ってんのに…
そして、嬉しくないとも言ったのに…口説く相手が嬉しくない事言ってどうすんだよ、アホ。
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