捧げ物

□…なんて思ったんだ
2ページ/5ページ



「十代目ぇっ!カニっス!!」


「えっ、カニ!?」



ぶんぶんと手を振って獄寺君は駆けて来る

…もしかしてカニ、
その手の中?



「そこの岩にくっついてやがりましたっ」


顔を輝かせて言うその手の中には小さなカニ

振り回されて可哀相だ

「凄いねっ。でも可哀相だから戻してあげようよ」


そう諭せば
そうっスね!
と元来た道を走る彼


水着の上にワイシャツを羽織っただけの獄寺君の肌を
他の人には見せたくないと思ったのは

多分墓の中まで持って行くだろう感情






帰って来たと思ったらその手にはカニの変わりにかき氷

薄めの赤と緑




獄寺君の白い肌と合わさって

綺麗だと思ったのもまた秘密




×××


 



「クロームもかき氷、食べる?」



そう言って十代目は髑髏ににこりと微笑んだ

恥ずかしそうに躊躇いながら
こくりと小さく頷いた様を見て十代目は
待ってて!
と走って行って仕舞った



「あ…、ボス…」

おどおどとする髑髏




今日の海のメンバーは過去最多だ



十代目がそれを望まれた

みんなで平和に過ごすことを望まれたから



オレは、

十代目の肩に気安く手を置く野球バカや、十代目に可愛く笑い掛ける笹川。ツナさんツナさん煩いアホ女、十代目が何かと気を使われる黒曜の奴ら…

そいつらに対して渦巻く嫉妬心を抑える




暫くして戻ってこられた十代目の手には
新しいかき氷が三つ増えていらして


「はいクローム!あと、犬さんと千種さんもどうぞっ」

なんて微笑み掛ける




十代目はお優し過ぎるから、

オレも、そんな十代目だから
ついて行こうと思ったのだけれど、



やっぱりこの人数は多過ぎた


なんて思うのは






右腕失格なのかもしれない








 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ