捧げ物
□…なんて思ったんだ
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「十代目ぇっ!カニっス!!」
「えっ、カニ!?」
ぶんぶんと手を振って獄寺君は駆けて来る
…もしかしてカニ、
その手の中?
「そこの岩にくっついてやがりましたっ」
顔を輝かせて言うその手の中には小さなカニ
振り回されて可哀相だ
「凄いねっ。でも可哀相だから戻してあげようよ」
そう諭せば
そうっスね!
と元来た道を走る彼
水着の上にワイシャツを羽織っただけの獄寺君の肌を
他の人には見せたくないと思ったのは
多分墓の中まで持って行くだろう感情
帰って来たと思ったらその手にはカニの変わりにかき氷
薄めの赤と緑
獄寺君の白い肌と合わさって
綺麗だと思ったのもまた秘密
×××
「クロームもかき氷、食べる?」
そう言って十代目は髑髏ににこりと微笑んだ
恥ずかしそうに躊躇いながら
こくりと小さく頷いた様を見て十代目は
待ってて!
と走って行って仕舞った
「あ…、ボス…」
おどおどとする髑髏
今日の海のメンバーは過去最多だ
十代目がそれを望まれた
みんなで平和に過ごすことを望まれたから
オレは、
十代目の肩に気安く手を置く野球バカや、十代目に可愛く笑い掛ける笹川。ツナさんツナさん煩いアホ女、十代目が何かと気を使われる黒曜の奴ら…
そいつらに対して渦巻く嫉妬心を抑える
暫くして戻ってこられた十代目の手には
新しいかき氷が三つ増えていらして
「はいクローム!あと、犬さんと千種さんもどうぞっ」
なんて微笑み掛ける
十代目はお優し過ぎるから、
オレも、そんな十代目だから
ついて行こうと思ったのだけれど、
やっぱりこの人数は多過ぎた
なんて思うのは
右腕失格なのかもしれない