モノクローム
□知らなかった日
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聞き終えて、獄寺から聞いた獄寺君のこと。
悲しい悲しい過去だった。
「過去に似合わず、綺麗に笑うね」
そう、素直な感想を述べたら、獄寺君は
何言ってやがんだ?
と苦笑ぎみに顔を歪めた。
今日一日で、『綺麗』を連発していた気がする。
彼の前で何回『綺麗』と言ったか、今度は数えておくことにしようか。
そう考えて一人笑ったら、また獄寺君から変な顔をされた。
ほら、
こんなにも綺麗…
☆★☆★☆
私達はサボり仲間。
いくら彼の過去を知ったからって
それ以上ではない。
それ以下ではまだない。
私はそれからも
単位ぎりぎり授業に出て、
そのまま、
一年が経った。
『綺麗』の数を数えぬまま。
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