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□A presto
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十代目がおっしゃった。


「獄寺君っ獄寺君。またピアノ弾いてよ…。おれ、ききたいな。ねぇ、おねがい…」


泣きながら、おっしゃった。


「…泣かないで下さい十代目。もう弾きませんよ、俺は。すみません。弾けません」


だって、恭弥はいないんだ。


俺のピアノを聞いてくれる、

俺をわかってくれるアイツは

もういない。



弾く意味がないんですよ、十代目。













「獄寺君、獄寺君獄寺君!おねがい、おねがい!
     しなないで!!」





「何言ってるんですか十代目?
俺は死にませんよ」


涙を流す十代目に、俺は優しくそう言った。
雲雀が俺に言ってくれたような優しい口調で。




「ヒバリさんも、ヒバリさんも獄寺君の死なんてのぞんでないよ!おねがいごくでらくん、しなないでぇ!!」





伝わらない。

俺の言ってること、


ツタワラナイ!!!





 
やっぱり、伝わらない。

俺はお前がいないと、駄目だ、恭弥。

恭弥がいないと、俺は俺じゃない。

恭弥と俺は独りじゃ半分なんだ。


だから……






一緒にいなきゃいけない。















俺はピアノ。
ピアノは俺。俺の気持ち。俺の心。

そのピアノをわかってくれるのは、

雲雀恭弥、ただそいつ一人だけ





自分自身でさえ自分がわからなかった俺を、獄寺隼人にしてくれたのはお前。

恭弥、お前なんだ。












だから俺はお前と一緒。


ずっと、ずっとだゼ。


















「死にませんよ、俺は、生きます。

     恭弥と一緒に」







 
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