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□仮定と結論
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『君なんてあの草食動物達と群れてればいいんだ!!』

『あぁそうかよ!俺ももうてめぇに纏わり付かれなくなると思うと清々するぜ!!』

『纏わり付いてたのは君でしょう!?もういいよ、顔も見たくない!咬み殺されたくなかったら早く僕の前から消えて?』

『っ!わぁったよ!!じゃあな!』












バカみてぇに何度も何度も頭ん中で繰り返される、三日前の言い争い…。


あぁ、本当に俺はバカだな。


詰まんねぇ事から、雲雀と喧嘩したことに今更後悔した。



いつもいつもあまのじゃくで、自分の気持ち一つもまともに雲雀へ伝えられねぇ。
好きの一言も言葉に出せねぇ。

ほんっと
情けなくてヤになる。







多分、
雲雀はまだ怒ってる。
今思えば、
全て俺が悪かったんだ。


雲雀と出掛ける約束ドタキャンして、十代目の誘いに乗った俺が悪い。

 


ゴメンの一言口に出せない俺は

誕生日なんて誰にも祝って貰う価値がない。

雲雀に祝って貰える価値なんかねぇんだ。








「獄寺君、獄寺君…。
お早う。大丈夫?もう昼休みだけど……っ」


数学の授業中、机に突っ伏して過去の自分を恨んでいれば、
お優しい十代目が俺に声を掛けて下さった。


「……行かなくて、いいの?」




応接室に…、と続かなくてもわかるその言葉の意味に、俺は曖昧に微笑んだ。


「別にいいっスよ。気ぃ遣って頂いて申し訳ないっス」


今日も昼飯、ご一緒させて下さい
と言うと、十代目も困ったように微笑んだ。








直後、

『獄寺隼人。
10秒以内に応接室。来なかったら、わかってるよね』


校内放送を私物化するな。

放送用チャイムの音が、今日はやけに美しく聞こえた。


ちらりと十代目も方を見ると、
今度はさっきのと違った笑顔だった。


「行ってらっしゃい」

誕生日おめでとう




全てを包み込み包容する、大空の笑みはとても綺麗だった。




「すみません!行ってきます!」


10秒以内になんて行ける訳ねぇ

と、既に10秒過ぎたことに気付きながらも走った。






視界を掠めた黒板には、英語の教科書が丸写しされていた。










 
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