モノクローム

□踏み出す時はスキップで
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「ちゃおっス」














そう言って彼は軽く手を挙げた




「こんにちは」




私も答えると、彼はにんまりと笑う




「お前が大宮椎音だな?俺はリボーン。ツナの家庭教師だ」


会ったのは、喫茶店。私は独りで喫茶店に行く勇気などないのだが、
外からリボーンさんを見付け、

彼がいる
=綱吉君がいる
=獄寺君がいる

という方式が頭の中で成り立ち入った。
…現に彼は一人で、その方式は成り立たなかったのだが…





それでも、彼とはいつか話したかったから
良かった、と思い

財布を忘れたらしい彼に貸すということで、
今、一緒にエスプレッソを飲んでいる。







「はい。こうして話すのは初めてですね……リボ山先生、と呼ぶのがいいですか?」



私がそう言うと、彼は丸い目をさらに丸くした



「……………俺の変装を見破れるのは、ツナと、俺の同僚6人とだけだ…」



「ん?」



変装?

………つか、何て呼べばいいのだろうか…




「なんとでも呼んでいいゾ」




獄寺君がリボーンさんと呼ぶから、私もそう呼ぶことにした




 





「リボーンさん。近々私に英語教えて下さい。苦手なんです」


話題がなくて振ってみた




「英語よりもイタリア語を勉強しとけ、椎音」



「Non capisco l'italiano.」
(イタリア語はわかりません)



「発音まで完璧じゃねぇか。舐めてんのか?」





顔の影が恐い


冗談なのに

冗談の通じない人、嫌いぃ!!





「余談はもういい、椎音」






「はい…」



この人からは、やばいにおいを感じる…
獄寺君よりも雲雀サンよりもやばい感じ





………家庭教師なんて、良く言
ったものだ…











「ツナから聞いたんだ。獄寺が気に入ってる女がいる、と。
だからおめぇに会ってみたんだが……この程度とは、拍子抜けだぜ」





リボーンさんがエスプレッソを啜りながらそう言う


私は何も言えなかった。

『この程度』と言われたことへの苛立ちと、

『獄寺君が私を気に入ってくれている』と言われたことへの疑問と、

『この赤ん坊、恐い』
という

様々な感情が入り混じっていたからだ





 


黙ってコーヒーを飲んでいると

「大宮椎音、てめぇ、強ぇのか?」

と呟く様に問われた



「強いって…喧嘩ですか?」




窓の外へ向けていた視線を戻してそう聞けば、
なま言ってんじゃねぇ、
と罵られる








「闘いが、強ぇか聞いてんだ」









「闘ったことなんてないし」




どうやら私の一言一言が、リボーンさんを苛立たせているらしい




だが私はそんなこと知ったこっちゃない


私はただ、



獄寺君が好きなだけなんだ













「山本やヒバリには、本当のこと言ってねぇんだ。山本はいまだ、『ごっこ遊び』だと思ってやがる……だが、てめぇには言う」














真剣な目
(といっても表情に余り変わりはないのだが、)をした彼を、

私は学校の教師を見るような目で見た








「ごっこじゃねぇ。
    獄寺はマフィアだ」

















『だからなに?』
と言ってやりたかった。
マフィアだから、私は獄寺君の傍にいてはいけないのか?

マフィアだから、私はここにいちゃいけないのか

獄寺君がマフィアだから、










だからなんだ











獄寺君達がマフィアだ、なんて
そんなことはもう…






「そんなことはもう知ってる」













リボーンさんはニヤリとニヒルな笑みで私を見た









 
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