モノクローム

□平凡な一年と平凡を望まない少女
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月日が経つのは早いもので、

私が獄寺君と初めて言葉を交わしてから、もう一年が経った。
丁度一年が経った。






最近、
並中生が何者かに襲われる事件が続出している。

京子ちゃんのお兄さんも大怪我をし、(京子ちゃんは煙突から落ちたと思っているようだ)
彼女の可愛らしい顔も不安色に染まっている。

皆、いつ自分が…と思い何処か不安げな表情をしているが

私は、思わない。

やられてるのは、『強い人』ばかり。
獄寺君や山本君、綱吉君の心配はしても、自分の心配はするだけ無駄だ。








その話しは取り敢えず置いてぉいて、



多少日頃の行いが悪くても
(喫煙とか授業サボりとか爆発物乱用とかその他いろいろ!)

テストの成績でそれら全てが許されて仕舞う程の獄寺君と違い

私に頻繁に授業をサボり、彼に会うことは
先生達から許されなかった。



それでも以前より成績は上がっているのだから我ながらすごいと思う。

まぁ正解には、すごいのは私ではなく獄寺君なのだが。

授業を一緒にサボっては、私は最初は面倒臭がっていた獄寺君に頼み、勉強を教えて貰っていた。

それが、とてもわかりやすい。


「いつも十代目に教えさせて頂いてるからなっ」


と彼は言うが、彼の敬語は少しだけ
おかしいと思った。

黙っておく。
 


とにかく
獄寺君から勉強を見て貰うようになり、私の成績は上がっていった。







………

ば〜かば〜か…
お前らなんかより獄寺君の方がよっぽど賢くてわかりやすいんだよ〜〜…

と、


今日は珍しく授業に出つつ、黒板の前に立つ
その黒と肌色の比率が悲しいことになっている教師の頭を見ないようにしながら
心の中でひとりごちた。




我ながら
むかつく生徒だと思う。






さて、

私のことはこのくらいにして、獄寺君はというと、



学校に来ていない。



今日は9月9日、

彼の誕生日だ。



誕生日だから来ないのかと思った。

だが、昨日約束したのだ。

『明日も一緒にサボろうね』

と…。


私の精一杯の勇気だったが、
只の口約束…。

もしかして、彼にとっては守る価値もない戯れ事だったのかもしれない。






すっかり黒色が少なくなった頭を見ながら、
一時間目終了のチャイムを聞いていた。



 
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