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□拝啓九代目
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拝啓
九代目様




作文の練習を兼ねて、お手紙を送ります。
下手くそな文章ですが
俺の日常を綴りたいと思いますので
よろしくお願いします。



まず、
朝は最強の家庭教師サマから蹴り起こされ、
そしてたいてい、山本という友達と、
将来の俺の右腕、獄寺君との三人で一緒に学校へと行きます。


ここで毎回、朝っぱらから困ることがあります。


獄寺君が、風紀委員の服装検査に引っ掛かるのです。

しかし彼の不良っぽさにも揉め事にも慣れました。


困ったことというのは、服装検査のことではありません。


それを取り締まっている、風紀委員長のヒバリさんが毎朝獄寺君に絡んでくるのです。


喧嘩してくれるだけなら、どんなに良かった…。


ヒバリさんと獄寺君、

彼等は
校門前で、全校生徒が見守る中、朝っぱらからキスをします。

それも深いものをです。






たいていはヒバリさんが、獄寺君に
『校則違反のお仕置きだよ』
などと言って無理矢理唇を塞ぎます。
無理矢理と言っても、
獄寺君が本気で嫌がっている訳でないのは見ていてわかります。


しかしたまに、
『これで許せよ』
なんて言い、始末書を免れたい獄寺君がヒバリさんにキスすることもあります。




学校公認の彼等ですが、
バカップルは他所でやって欲しいです。

朝から胸やけに苦しみます。



それと、二人がバカップルっぷりを見せ付ける度、隣の山本が怖いです。


山本も獄寺君の美貌に惚れていたようで、
真っ黒なオーラが半端なく怖いです。


俺は、山本の想いにも二人の恋心にも、
多分本人達よりも早くに気付いていたので、

大切な友達が好きな人と両想いになれて良かったと思っていますが、

知っていただけ、もう一人の友達を可哀相だとも思い悩んでいます。

超直感はとても便利ですが、
正直、こんなことにも気付いて仕舞うこの能力はキツイものがあります。




今日はこの辺で止めにしておきます。

これから、山本と獄寺君と一緒に俺の家で勉強することになっています。

きっと今日も俺の部屋の窓からヒバリさんが乗り込んで来るでしょうから、
俺は窓に鍵をかけません。

鍵などかけていたら、窓は粉々になって仕舞います。







日常、などと最初に書いておいて、
結局、朝のことしか伝えていません。
ごめんなさい。

一日に渡って彼等はいちゃいちゃとしてるのですが、
流石に思い出すだけでお腹がいっぱいなので、続きはまた今度にします。


いや、やっぱり止めておきます。
九代目も、
授業中に響く、ヒバリさんが獄寺君を呼び出す校内放送に学校全体が静まり返る話しや

日の強い昼休み、ヒバリさんがわざわざ獄寺君の為に日焼け止めクリームを塗りに来る話しなんか、

胸やけして聞きたくないでしょうから。



そんなこんなで、
彼氏も彼女もいない俺は
苦しい毎日を送っています。



毎日毎日彼等のバカップルぶりを見せ付けられるのに比べたら、
前はあんなに拒否していた
マフィアのボスという仕事もなんてことない。




今はそう思って、平和にみんなで仲良く暮らしています。





それではお体にお気をつけて。




沢田綱吉より


九代目様。




追記
まずはみんなと同じ高校に進学出来るように頑張りたいと思います。



         敬具








†END†
 

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